そこへ、以前付き合っていた韓国人女性、美宝子が現れた。
吉田には刑務所に入る前に7人の女がいたが、すべての女と
縁を切っていた。ところが、吉田の出所を知り、韓国から、
わざわざ「6番目の女」美宝子は訪ねてきたのである。
彼女は服役中に彼の子を産んでいた。
吉田は美宝子と結婚した。
彼女は親の代からの熱心なクリスチャン。
吉田と結婚してからも礼拝にはかかさず出席し、
吉田がヤクザをやめ、改心するよう、
神にたえず祈っていたのだという。
「妻は、私がバクチをしているその横で、
-イエス様を信じればそんな遊びよりもっと楽しいのに-
といつも言うんです。そのたびに
やかましいわ、と怒鳴って手当たり次第に、
彼女に投げつけていました。」
美宝子は、どんなに吉田から罵声を浴びても祈り続けた。
「このお茶を呑めばイエス様を信じるように」
と祈ってから湯呑みをわたす。
3日間、1週間、果ては12日間の断食。よる8時から朝8時まで
飲まず食わずの断食の祈りを500日も続けたときもある。
「最初はあんなヤクザと結婚するつもりはなかったんです。
しかし、祈れば祈るほど、吉田はお前の夫であり、将来私(神)のために
良い働きをする。という応えが返ってきたんです。」
しかし、吉田は「神様なんか弱い奴が信じればいいんや」
と美宝子をばかにしつづけていた。
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